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  • 「神の国のビジョン」イザヤ11:1-10

    2021年11月28日礼拝説教の要約「神の国のビジョン」イザヤ11:1-10

     イザヤ書11章は「エッサイの根」の賛美歌でもよく知られているし、古くから教会では主イエスの降誕を待ち望むアドベントの時期にメシアを預言する箇所として読まれ続けてきた。イザヤは神の民に神のビジョンを明確にここで示している。「エッサイの株からひとつの芽が萌えいでその根からひとつの若枝が育ち その上に主の霊がとどまる」(1節)。「株」は切り株のことだ。イスラエルは敵の攻撃によって切り倒されてしまう。イザヤの現実は「切り株」の世界なのだ。これまでの繁栄とか、高くそびえるような誇りなどが倒され、生きる力を奪われてしまっている世界だ。しかし、まさにその中に新しい王が、メシアが到来することをイザヤは告げるのだ。
     

     イザヤの告げたメシアはどのような方であるのか? そのメシアは「知恵と識別の霊」、「思慮と勇気の霊」、「主を知り、畏れ敬う霊」を与えられる。「目に見えるところによって裁きを行わず/耳にするところによって弁護することはない。弱い人のために正当な裁きを行いこの地の貧しい人を公平に弁護する。その口の鞭をもって地を打ち唇の勢いをもって逆らう者を死に至らせる。正義をその腰の帯とし真実をその身に帯びる」方が新しい王として到来することをイザヤは告げた。
     

     この主の霊に満たされた新しい王が治める「新しい国の形」をイザヤ6節以下に美しい、驚くべきビジョンを描き出している。狼や豹、熊といった獣たちが、小羊や山羊、牛といった家畜と共にいる。共に寝そべり、草を食んだりしている。それを小さな子どもが導いているという世界である。私たちはここに描かれる預言者イザヤ「神の示されるビジョン」をどのようにとらえるのだろうか?現実世界は「弱肉強食」の世界であって、獣と家畜が一緒に草を食むなどユートピアであって現実世界ではありえない。こんなの夢物語だといって、切り捨てるのだろうか。
     

     今回の説教の準備のために読んだ説教集の中にメディア論を専攻する社会学者村上直之さんの指摘することが紹介されていた。村上さんによれば現代人は、現実に起こっていることをオールマイティーとし、さらにその現実に手を出せないと思い込んでしまっていると指摘する。彼はそれを「現世教」と評する。現代人は、「見えるところ、聞こえるところ」だけで即断し、そこから自分を守ろうとすることで精一杯になってしまっていると。
     

     しかし、「その日が来れば」とイザヤは語る。その時が来るのだ。まだ私たちが見えていない世界が来る日があるのだ。「その日」は、2000年前あの、ナザレのイエスというお方が、この世界に来られたことによってすでに「来た」のだ。しかし、またすべての民が一つに集められる神の国のビジョン。まさのあのキング牧師が演説したような「夢」は、いまだならずの世界に私たちは生きている。キリスト者は、すでにこの世界に来たキリストの支配と、いまだならない神の国の幻の間で、必ずそれは「その日がくれば」実現することを待ち望みつつ、「神の国のビジョン」に生きる者たちだ。2021年のアドベントにはいる。私たちの与えられた主イエス・キリストによって示された神の国のビジョンを私たちは、新しい年を歩み始める私たちの見るべき幻として、思い描く、夢として高くかげたいと思う。

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